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株式会社中倉康介建築設計事務所
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星乃珈琲店新店舗計画
星乃珈琲店の新しい旗艦店を設計した。

喫茶店が売っているものは単なる珈琲ではなく、珈琲を飲むための素敵な「場所」と「時間」である。美味しい珈琲を最高に美味しく飲むために相応しい空間とはどのような場所か。その問いに対する回答である。

店内の環境は、日本家屋の縁側のように居心地がよく、自然光の中でゆっくりと過ごせる空間構成とした。建物の断面形状は切妻屋根を頂部でずらした構成とし、ハイサイド窓から建物の奥まで光が届くように計画している。また、重力換気を行うことで、建物内を穏やかな風が通り抜ける計画としている。

客席に座った場所から見える景色も重要な要素と捉え、建物は敷地の奥側に配置し、前面に大きな庭園と散策路を取った。ソファ席、テーブル席、ボックス席、カウンター席など様々なタイプの客席を用意し、お客様1人1人がお気に入りの場所を見つけられるようなインテリア計画とした。

通常、飲食店では客席をなるべく多く確保するため、小さいテーブルを並べて、壁際のベンチシートで座席数を稼ぐことが一般的であるが、効率のみを重視した均一で無機質な空間は星乃珈琲店に相応しくない。テーブルは750mm×750mm、椅子・ソファの腰掛深さは650~700mm程度のゆとりを持った寸法で計画し、その分、平均客単価の高い1ランク上の店舗としてブランディングした。

ゆっくりと寛げる世界観を演出するため、商業性の強い要素は徹底的に取り除いた。大きな立て看板や食品サンプルの棚は設けず、メニューもテーブルの上に置かずに案内時にその都度手渡すオペレーションとしている。また、緑に囲まれた小径を通って店内に入るアプローチとし、客席から駐車場や前面道路が見えないように完全に視線をコントロールしている。

什器類は極力固定家具を減らして、将来の柔軟なレイアウト変更に対応しやすいように配慮した。飲食店には必ず流行り廃りがあり、店内の雰囲気づくりにも常に変化が求められるからである。居心地の良さは写真に写るものではないから、一過性の話題作り、インスタ映えを狙うような設計は行っていない。

上品で落ち着いた店舗全体の雰囲気が売りとなって、じわじわと口コミでファンが増えるような店舗を目指している。洗練されているけれど流行りに乗り過ぎず、高級感はあるけれど堅苦しくない、街のリビングとなる店舗である。

星乃珈琲店設計コンペ優秀賞受賞。
Data

カフェ設計 | 中倉康介

種別 | 新築

構造 | 鉄骨造

予算 |

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