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広瀬毅|建築設計室
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上松の家
[ 作品解説 ]
街を見おろす大きな窓「活動的な空間」と「ゆとりある佇まい」
はじめてこの敷地を訪れたとき、そこには品の良い平屋の木造住宅があり、よく手入れされた庭が設えてありました。それは、街を見おろす小高い住宅地にふさわしい佇まいに思えました。
その場所に若いご夫婦が新しい生活を営むための住宅をつくることになりました。大きな開口のある吹き抜けのダイニングと、ご主人こだわりのAV設備をもつリビング、そこから一体に広がるウッドデッキ、芝生を敷き詰めた広い庭。若い二人のために明るく活動的な空間を用意しました。
その一方で手入れの行き届いた既存の樹木を残し、板塀をまわし、木製の建具を使い、格子を取り付け、手の痕跡のある左官壁で仕上げました。その場所には若々しさだけでは納まらない質感が必要と考えたからです。
「活動的な空間」と「ゆとりある佇まい」、その双方をうまく結びつけることを考えてこの家はつくられました。
そして、建物は引き継がれていきます。過去から未来へ。私たちにできることは過去から持ち越されてきたこの場所の、この環境を引き継ぎながら、そこへ今の時代の生活、技術に見合うように少しだけ手を入れていくことです。
設計を進める間、私の中にあったのはかつてそこにあった小さな木造住宅の佇まいです。交通量の多い幹線道路が脇をとおり、環境は少しずつ変わっていきますが、その住宅街の趣きは変わらず引き継いでいければと考えています。
設計 | 広瀬 毅
種別 |
構造 |
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