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NAKANO☆DESIGN一級建築士事務所
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納屋の上の住まい
[ 作品解説 ]
納屋の上に作った農家の長男氏の住まいです。長男氏は、自動車の整備士であり、2段式駐車装置のある専用車庫も設けられました。
住宅と納屋、専用車庫の組み合わせは、固有の風土と、住人の技能を反映した住まい方の例として面白い試みです。テラスの照明が、農道の三叉路を照らす街灯にもなる提案は、人口が減る時代の公共と私有の問題を考える上でも示唆に富んでいます。
日本は成熟期を向かえ、今後は地方ほど激しい人口減少に見舞われます。固有の風土を反映した、住み続けたいと思える住環境の創造が、人材流出を防ぐためにも、田園風景のような、そこに住む人の営みによって保たれている景観を守っていくためにも急務だと思います。
住宅部分も、あまり機能と一対一対応する空間とはせずに、納屋のようにおおらかに使える空間を目指しました。
農家の長男さんの住まいである為、盆暮れに限らずご親戚が集まる機会も多く、そうしたイベントの時に皆が集い楽しめる場を母屋に付け加えるという考えもあり、こうした計画となりました。
長男氏は、現在独身ですが、住宅に友人を招いて交流をする中で、様々な出会いを求める事ができるでしょう。
今後のご結婚や、お子さんの誕生など、これからも、新たなご家族と共にこの住宅づくりを続けていただけるように、あえて完成による不自由よりも、ハーフメイドの持つ可能性が求められました。
この住宅は、過去から未来へと続いていく生活の変容を引き継ぎ、受け止めるものでありたいと考えています。
2010年 (社)新潟県建築士会 [関東甲信越ブロック会] 優良建築物特別賞
設計 | 中野 一敏
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