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富谷洋介建築設計
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四分円階段が繋ぐ家
木造住宅の内部を中心としたリノベーションです。
築後13年が経過した中古住宅を購入されたお施主様が居住されるに当たり、キッチンを中心とした心地よいLDK空間、使いやすい水回りへのリノベーションをご希望され計画がスタートしました。
既存住宅は、木造住宅のスケール感を超えるほど大きな内部空間でしたが、適度でなく、快適な人の居場所が想像しづらい空間でした。
L+D空間は広いですが、中心に大きな列柱が立つことでダイニングを置くにも、テレビを置いてソファを置くにも広すぎたり、妙に窮屈感を感じたりする場所でした。その上に広がる大きすぎるほど大きい吹き抜けはダイナミックで明るくはありますが、くつろぎの空間であるはずのリビングの上部空間としては寒々しく落ち着かない状態にしていました。
また、2階と吹抜けは一応繋がっていましたが城壁の様に高々と視線を遮る腰壁が子供の視線を遮り、何のための繋がりなのかと首をかしげるものでした。
そこで改修にあたり考えたことは既存住宅の持つ「広さ」という個性を生かす事、また家族が居たくなる溜りとなる場所を各所に作り、LDKから繋がるワンルーム空間に家族が共に楽しく滞在できるようにすることでした。
まず大きくは、吹抜けの一部に小さなブリッジを設ける事で広すぎる吹抜けを小分けにし1階に落ち着きを持たせるとともに、そこにリビングから柔らかく曲面階段で繋げる事で1~2階が自然につながる動線を作りました。
また、2階の吹き抜けに面する個室の壁を開放し、セカンドリビングと名付けたフリースペースを設けました。
既存では多くの住宅がそうであるように、今まではリビングを出て階段を上り個室に入る、という使い方でしたが、この第二の階段とセカンドリビングが出来たことで、2階までメゾネットのようにリビングが繋がった印象になり、各個室とリビングとの関係性がより密接に、家族の距離感が近くなりました。
色を付けた壁は、空間は繋がりながらも用途が変わる室に入るための区切りとして印象付けるため配置し、キッチン←→リビングダイニングの関係、吹抜←→セカンドリビングの関係を心理的に境界します。
ペレットストーブによる暖かさの溜り、TV台一体のベンチとなる小上がり床、回遊できる木のアイランドキッチン(デザイン・制作 匠龍木工社)スペースなど、バランスよく家族が溜まれる仕掛けを用意し、居場所のなかったLDKから、居たい・居心地の良い共用部へと生まれ変わらせる事が出来たと考えています。
一般住宅設計 | 富谷洋介
種別 | リフォーム・リノベーション
構造 | 木造
予算 |