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富谷洋介建築設計
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双空の家
敷地は市街地から程近く、商業圏や地下鉄駅から近く利便性ある人気のあるエリアで、3層の集合住宅や住宅が敷地3方を囲みます。
敷地の道路を挟んだ南側には10層程度のマンションが近年続いて建てられています。
利便性ある都市に住むという事は必然的に周辺建物が集密した人口密度の高い場所に住むという事でもあります。
心地よい住環境を作るために、内部空間の充実はもちろんの事、窓から取り込まれる周辺環境をどう圧迫感なく気持ちよく取り込み、またプライバシーも保ちつつ住まいと距離を保ち、そして家中隅々まで自然光を採り入れるかというのがテーマとなりました。
また、永く使う住まいとしてバリアフリー等の要求条件を満たしつつも、機能性優先に寄り過ぎない、心地よく質感ある空間を検討しました。
階のゾーニングは、ホームエレベータの設置の前提により階の上り下りの負担は軽減されるため、採光環境のより良い3階に最も滞在時間の多いLDKを配置し、2階を個室ゾーン、1階を来客エリアとし、外部空間からのプライバシー感のバランスで決定されました。
敷地を最大限活用しているため1階駐車スペースを配置した外壁の後退位置は自ずと決まりますが、2階3階は1階より最大2.4m程はね出し延面積を増やしています。またその軒下は玄関ポーチの庇ともなっています。
2階・3階では単純に南側に窓とすると敷地南側に道路を挟んで対峙しているマンションと正対してしまうので、視線を正面近接マンションから逸らし、半永続的に確保される道路上・またマンション駐車場上のヴォイドへと目線が2方向に抜ける建物南東・西南の角に窓を配し、また外壁は道路に対し斜めに設定し自然光を受け取る角度・また内外の目線に対して調整しました。それらにより中高層建物が近接する街中にありながらもプライバシーを守りながらも程よい抜け感を得ることが出来ました。
また、ペントハウス階まで階段を繋げ屋上へ上がることができるようにした事で庭・テラスとして使用できるようにもしました。周辺は10層程度の中層MSも多いですが、中高層建築物や日影規制を避けた10m以下の建物も多く、ペントハウスレベルでは街中にありながら周辺建物を避け空へ抜けた解放感を得ることとなります。
内装では永く優しい空間となるよう、無垢の木質を各所に生かし、手触り・脚ざわりの良い本物の質感を感じると共に、必要以上に華美ではなく経年により深みが増す質を考えました。
1階RC構造部は外断熱構造を採用し、寒冷地に1階RC造とした住まいでて通常問題となるスラブや間仕切り壁部分での熱逃げ「ヒートブリッジ」を防ぎ、RC躯体を大きな蓄熱体として室内側に取り込み、2~3階木造部に関しても高断熱化を図り建物全体として均一で柔らかく暖かい温熱環境を設計しています。
一般住宅設計 | 富谷洋介
種別 | 新築
構造 | 混構造
予算 |