中心市街地から数キロ離れた広い土地に建つ住宅。東側には人口の農業用水があり、地域の重要な水資源として機能し地域住民もその側道を積極的に利用している。西側には田畑があり景色は良い環境である。プライバシーを確保しながら開放的な住宅となるよう設計した。

内、外部共に三角形の空間で構成。外部庭にはL字にRC壁を配置し、内側に天端まで土を盛って丘をつくっている。側道からは、時折住民が塀の向こうで浮いて見える稀有な場面に遭遇する。室内のパノラマ状窓からの景色は、地面が空へとシームレスに繋がり閉じながらも開放的な庭が実現している。屋根先端の木製デッキに行けば西側の豊かな田園風景を望むことができる。建屋屋根は一寸勾配、室内は勾配天井で伸びやかに構成され、北側の部屋は高さを利用してロフトや収納として空間利用している。

庭の土中3ｍ下には塩ビ管を30ｍ埋設し空気を通しており、地熱利用を行っている。地中5ｍ下温度は一年中通して15度と言われているが、ここでは最大で外気温度±10度の温度を計測、安定温度を供給している。氷点下の日には暖かく感じ、真夏の暑い日には涼しく感じることが実際にできた。リビングに開放された空気は勾配天井に沿って重力換気で流れ、立体的三角庭とRC塀は南風を室内に集束するように作用する。二つの三角形の空間は良好な空気環境実現にも貢献している。


2015年度
第27回すまいる愛知住宅賞 名古屋市長賞 受賞