和歌山県新宮市　住宅地　　敷地面積317㎡　延床面積124㎡ 敷地の周囲に目を向けると東には建物と建物の間に太平洋につながる僅かな抜けが見える。北面、南面は隣地の建物が接近し、風景を作る要素は見当たらない。しかし、西面は道路を挟んで神倉の山々を望むことが出来る。南西には世界遺産の一部「神倉神社」が鎮座し、北西には天然記念物でもある「浮島」に小さな森も見える。光を室内に取り込む方向としてはあまり好ましくはないが、神倉の山並みと浮島の森を上手く切り取ることが出来れば、この住いの顔を作ることが出来る。
リビングダイニングがゆったりと空中に浮かぶようなフロートハウス。日中は建物から少し飛び出した２階部分が存在感を辺りに漂わせ、夜になれば闇に馴染んでいく周囲の黒い箱。ライトアップされた浮遊するような空間は浮島であり、太平洋に浮かぶ屋形船のようにも見える。
視線の先には白い内部空間の連窓からシャープに切り取られた神倉山の連なりが絵画のように迫りくる。（設計時のコンセプト文より）