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A.A.TH ああす設計室
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『外・〈外〉・《外》』 家のなかに家がある!
樹木の下、タープの下、バンガローの下。アウトドアライフでは、「外」という一言ではあまりある、様々な光や空気の状態を満喫することができる。
私達は、そんな豊かな住まいを目指し、開放的な環境を望む崖地に、徐々に室内化の深度を増してゆく、幾つかの層を持つ家をつくった。
庭で獲れた野菜の保管や物干しの場となる土間=〈外〉は、最も外に近い場所である。そこに射し込む光は、木製ルーバーにより細分化され、木毛板やOSB等の肌理のある仕上を照らすことで、更に細密化される。こうして、木漏れ日のように砕かれた光と現わしの架構によって、〈外〉に樹下のような雰囲気が生まれる。
〈外〉から、更に室内化された食事室=《外》の天井は、異なるポリカ波板をパターン貼りして3段階の透明度を持たせている。木漏れ日がタープに陽と影の斑模様を描き込むように、この天井で拡散した光は、頭上に豊かな表情を描き出す。
《外》と建具で仕切られた最も室内的な場は、構造用合板とOSBで囲われた小さな小屋である。木毛板を下見板貼りとした屋根、雨戸風の引戸といった風貌はキャンプ場に佇むバンガローのようである。
こうしてできた、外から続く三つの層は、平面的にも立体的にも重なり合う。特に、ふと見上げた時の重なりは、景色のような遠さを感じさせ、平面的な奥行感とは異なる、名状し難い深みをこの家に与えている。
夏季の環境対策として、最外殻となる土間の層には、残暑までを考慮した日射抑制ルーバーを設置し、また、排熱については強制換気により5回/h換気(自然換気を含めれば10回/h換気以上)とすることで絶えず空気が入れ換わる木陰のような環境を目指した。
冬季は、この層が空気の断熱層となることを期待し、断熱性の高い木毛板(熱伝導率0.069w/mk)を防火壁と兼ねて使用した。また、上部に溜まった熱は軸流ファンによって床下経由で食事室に送られ、補助的な暖房として利用している。
また、閉めれば4畳となる小屋は、エアコンの効きが良く、通年、快適な環境となっている。
・東京建築士会 住宅建築賞 2013
・住まいの環境デザイン・アワード2014住空間デザイン優秀賞
・SDレビュー2010 入選
・完成!ドリームハウス テレビ放映
一般住宅設計 | 葛川かおる+鹿田征歳
種別 | 新築
構造 | 木造
予算 | 2000万円